心臓血管外科

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心臓血管外科

当科では循環器内科と連携し成人心臓血管疾患の外科的治療を行なっています。心臓血管系の疾患は、その性質上、緊急性が求められ緊急手術にも積極的に対応しています。また、待機的手術では自己血輸血での手術を心がけています。

1) 虚血性心疾患の治療

【冠動脈バイパス術(CABG)】

冠動脈の閉塞部位や高度狭窄の末梢の冠動脈にバイパス血管(グラフト)を吻合して新しい血の流れを作る手術です。現在主に使われているグラフトには、鎖骨下動脈の枝である内胸動脈や前腕にある橈骨動脈、胃の周りにある胃大網動脈などの動脈グラフト、それと下肢の大伏在静脈があります。
冠動脈バイパス手術には、人工心肺を用いながら心筋保護液を使用して心停止させた状態で手術を行うon pump CABGと、心臓を停止させずに心拍動している状態で行うoff pump CABGがあります。当院では約70-80%の症例でoff pump CABGが行われていますが、緊急手術で心機能が著しく低下している人や、閉塞性動脈硬化が強く補助循環としてのIABPの挿入が困難な場合などはon pump CABGを行っています。

2) 弁膜症の治療

弁膜症の治療方法には、患者さんの状態によって、内科的治療と外科的治療があります。
比較的軽少な場合は、内科的治療として強心剤や利尿剤、血液の流れをよくする血管拡張剤などを投与して、心不全症状を改善させます。内科的な治療に効果がない場合や心不全を繰り返すような場合は外科的治療が選択されます。
外科的治療としては、弁を修復しで弁機能を回復させる弁形成術と、弁そのものを人工弁に取り替える弁置換術があります。弁の性状や患者さんの年齢や合併症の有無などで、どちらの治療法が適しているかを判断します。

弁置換術で使用される人工弁(生体弁と機械弁)

  生体弁 機械弁
素材 ウシやブタの弁尖や心膜などの生体 チタンやカーボンなどの金属
血栓症の合併 血栓症の心配は少ない 血栓が付きやすい
耐久性 10~20年 半永久的/20~30年
抗凝固剤療法 術後1~2ヶ月で必要なくなる揚合が多い 生涯にわたり必要
その他 70歳以上の年齢の方や、抗凝固剤の服用が困難な人、今後大きな手術を受ける予定のある人、妊娠希望の女性などに選択されることが多い 若く心機能が比較的良い人、ワーファリンの内服が可能な人

【僧帽弁形成術】

働きの悪くなった自分の弁尖を切除し、縫合して修復させ、弁の機能を回復させる手術です。弁置換術と異なり人工弁を使わないので抗凝固療法の必要は基本的にありません。

【三尖弁形成術】

三尖弁では弁形成が行われるのが基本です。人工半輪というリングを用いて三尖弁の形を整えることによって逆流を防止し弁の機能を回復させる手術です。

3)大動脈疾患の治療

大動脈の病気には血管が瘤のように膨れてしまう大動脈瘤や血管の壁が裂けてしまう大動脈解離などがあります。

【大動脈瘤】

動脈瘤ができる場所によって胸部・腹部あるいは胸腹部大動脈瘤といいます。動脈瘤はあまり自覚症状が出ないため、他の病気の検査(CTやエコー検査など)で偶然見つかる場合が多いです。大動脈瘤が大きくなってくると破裂の危険性が高くなります。破裂をしてしまうと命にもかかわる状態になってしまう為、破裂を予防する処置が必要となります。
当院では手術の適応となった場合には外科的治療として、膨らんでしまった血管を人工の血管に交換する人工血管置換術を行っています。また、破裂してしまった場合には救命のために緊急手術が必要となります。

またその他、最近では、血管に細い管(カテーテル)を挿入して人工血管を患部に留置する「ステントグラフト内挿術」が当院でも可能となっております。
ステントグラフト治療は、外科的治療時比べて必要な切開部をより小さくすることができ、治療時間や入院期間も短く出来るので、負担が少なく治療できるのが特徴です。

当院では大動脈瘤の治療時には、瘤の部位や形態、また患者さんの年齢や状態などを確認したうえで、外科手術とステントグラフト術の利点と問題点について十分に検討し、より良い治療法をご提示させて頂き、選択する方針をとっています。

【大動脈解離】

大動脈の血管壁が剥離してしまう病気です。解離の部位や程度によってさまざまな症状や病態を呈します。 CTによって診断しますが、病態によって外科的治療や保存的治療が選択されます。また、大動脈に破裂の兆候や心臓を含めて他の臓器障害を伴っている揚合には、救命のために緊急手術が必要になることもあります。

4)末梢血管の治療

下肢動脈の病気

閉塞性動脈硬化症:足の血管が動脈硬化によって血流が悪くなってしまう病気です。症状としては、歩くと足のだるさや痛みが出現して、休むとよくなる間欠性敏行といわれる症状が典型的です。腰の整形外科的な病気でも同様の症状が出るため、検査で鑑別を行う必要があります。
当院では血圧脈波検査やCT、カテーテル検査などで診断し、病状に応じて薬物療法、カテーテル治療、外科的治療を選択して行きます。

下肢静脈瘤

最近足がむくむ、つる、足の血管が目立つ・・・。そんな人は注意が必要です。下肢静脈瘤の初期症状かもしれません。

Q:下肢静脈瘤とはどういった病気?
A:心臓に血液を戻すため、静脈には弁がありますが、その弁が壊れて血液が逆流・うっ滞し血
  管が膨らむ病気です。
  放っておくと色素沈着、皮膚の潰瘍ができてしまうこともあり、治療しても元通りにするの
  は難しくなります。

Q:どのような治療が効果的?
A:弾性ストッキングは血液のうっ滞症状を軽減しますが根本的な治療ではありません。以前は
  皮膚を切開し、血管を引き抜く治療(静脈瘤抜去術)が主流でした。当院では、静脈内にレ
  ーザー、または高周波のファイバーを挿入し、静脈壁にレーザー、または高周波をあて、静
  脈を閉鎖させる血管内治療を行っています。

Q:治療は痛みを伴う?
A:局所麻酔に静脈麻酔も併用し、患者さんは眠っている間に、痛みを感じることなく、1時間程
  で治療を終えることができます。体への負担も少なく、日帰りでの施術が可能です。

Q:どのような人がかかりやすい?
A:女性に多くみられ、出産を機に発症することが多く、立ち仕事や遺伝的な要因も少なくあり
  ません。

Q:診察日、検査は?
A:まずは、月曜日、または木曜日に外来受診をお願いいたします。
  診察させていただき、超音波検査を予約させていただきます。超音波検査日に再度来院して
  いただき、検査し、すぐその後に結果をお話し、治療が必要であれば、手術日をその場で決
  めさせていただきます。あとは術前検査に一度外来を受診していただき、その後、手術とな
  ります。

Q:手術後は?
A:手術翌日に外来を受診していただき、超音波検査にて問題がないことを確認し、あとは2~
  3ヵ月後にもう一度外来を受診していただき終了となります。

  
 
血管内治療

   ●レーザー治療

2011年に保険適応となり、弁不全、血液の逆流を起こしている表在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈)にレーザーファイバーを挿入し、レーザーを照射しその熱で静脈を閉塞させる治療法です。皮膚をまったく切らないで、細い針で皮膚の上から静脈を刺してレーザーファイバーを挿入するので傷は残りません。

   ●高周波治療

2014年に保険適応となり、エネルギー源がレーザーではなく高周波という違いだけで、手術法は基本的にレーザー治療と同じです。従来から当院で行っているレーザー治療と同等以上の治療効果が得られ、さらに術後の痛みや腫れ、皮下出血が少ないなど、より負担の少ない治療となります。治療にかかる費用はレーザー治療と全く同じです。

 静脈瘤切除術

皮膚を2~3mm程小切開し、血管内治療では消失しない枝の静脈の瘤を、摘出する方法です。

 硬化療法

細く小さな静脈瘤に、血管に炎症を起こし閉塞させる薬(硬化剤)を注射し、弾性包帯で圧迫する方法です。閉塞した血管は次第に萎縮して消えていきます。



透析シャント造設・トラブル対応

血液透析導入に際し内シャント造設、およびシャントのトラブル時に再建術を行っています。緊急にも対応し、人工血管によるシャント造設、動脈表在化も行っています。

5)実績

平成29年度

冠動脈バイパス手術および体外循環手術 43例
腹部大動脈瘤および末梢血管手術 120例
その他の外科手術 13例
下肢静脈瘤血管内焼灼術(レーザー手術) 226例

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